今年の四月にお檀家のお婆さんが亡くなられた時の法話で、お婆さんが毎日よく歩いている様子を見ていたものですから、「お婆さんは家族に心配を掛けない様、寝込まない様に歩いていたのではないかと思います。」と話させていただきましたが、四十九日が近くなりふと若くして癌で亡くなられた鈴木章子さんが書かれた「還るべき私の故郷」という文章の一部を思い出しました。
「私が還っても寂しくない様に、故郷に灯りを付けに先に還ってくださった両親、ご先祖様、私はその故郷の灯りをめざしてまっすぐ歩いて行けばいいのだ」
お檀家のお婆さんも、寝込んで家族に迷惑を掛けない様に毎日歩いておられただけではなく、先に亡くなっているご主人や二人の息子たちがいる所をめざして真っ直ぐに歩いて行ける様に頑張っておられた様に思われてなりませんでした。
家族やまわりの方々のことを気遣い、心配をしてくださったお婆さんに対し、皆さんは毎日家族仲良く、元気で暮らしていただくことが「真の供養」ですと申し上げ法話を閉じさせていただきました。
「安らけく眠りませと祈る身に 幸多かれと声の聞こゆる」
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