曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

大きなお世話をしなさい [1729 H25年9月23日〜9月29日]

三重県 観音寺 副住職 平野晃嗣 師

『梵網菩薩戒経』に「不譫病苦戒 第九 僧坊、城邑、曠野、山林、道路の中、病めるを見て、救済せずんば、軽垢罪を犯ず。」これは簡単に訳すと「病気や怪我で苦しんでいる人、困っている人、悩んでいる人がいたら手を差し伸べなさい。無視するようなことがあれば軽い罪を犯したことと同じですよ。」ということです。 『梵網菩薩戒経』はいわゆる戒律の『戒』が示されているお経です。僧侶たるもの救済をするのが決まりだということになります。
 私はある研修で「僧侶たる者、人に喜ばれることだけが救済ではない。救済をしたことが大切なのである。だから、大きなお世話をしなさい。」と言われた事がありました。
 例を言うと
◆お年寄りに電車の席を譲ろうとして、「わしはそんなに歳じゃない。」と拒否される。
◆他の人の仕事を手伝うと自分独りでやりたかったと言われる。
親切にしたつもりが、裏目に出てしまう。他人から褒められることも少なく、良いことも訪れない。すぐには結果が見えてこない。
だから、止めてしまうのか。
時には何もしないでじっと待ち続けるのか。
でも、止めてしまっては何も起きないし、変わらない。
蓮の花は濁った沼から咲きます。
飛行機は空気抵抗を受けて初めて飛びます。
今自分に出来ることはなんだろうと考えてみよう。
何かをやろうとするのではなく、目の前のことをどうしたら良いかを考える。
自分はどうなのかを考える。
 私の住んでいる町の講演会に出かけた。会場はパイプ椅子が並んでいるだけの体育館。講師のすばらしい講演が聞けました。
 講演会終了後、当然聴講者は帰りだす。当然スタッフは椅子を片付けだす、一人1つ片付ければ早く片付くのにと思った私は椅子を片付けるのを手伝う。そしたら、何人か手伝いだした。
 私は少なからず自分の行動が社会に影響しているのではないかと思い、大人?社会人?イヤイヤ、僧侶の自覚がさらに芽生えました。

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