曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

無償の行為 [1734 H25年10月28日〜11月3日]

静岡県 宝蔵院 副住職 大澤良典 師

つい先日、なんとも痛ましく、やりきれない事故が起きました。
JR横浜線で線路上に横たわっていた74才の男性を助け出そうとした、会社員で女性の村田さんが、電車にはねられてお亡くなりになりました。男性は骨折はしているものの命に別条ないとの事でした。
村田さんはたまたま勤務先に戻る途中、父親が運転する乗用車の助手席に乗り踏切が開くのを待っているときに、踏切内に横たわっている男性を見つけました。村田さんは「助けなきゃ」と言いながらドアを開けて飛び出しました。父親は「やめろ」と制止しましたが、耳に入らない様子で踏切内に入っていったといいます。何とか男性を線路から動かしたものの自分が電車を避けるのは間に合わなかったのです。
亡くなった村田さんの父親は「娘は小さいころから優しい子だった。『助けようとしたお爺さんは助かったよ』と伝えたい。」と語っておりました。
せまりくる電車の恐怖を感じながら一生懸命男性を助けようとした村田さんの勇気ある行動は最大級の『布施行』に当たると思われます。自分の一番尊いいのちをなげうってでも「助けたい」と思う、この村田さんの行動はとても真似のできることではありません。
もし村田さんでなく私自身や皆様がその場にいたらどうしますか?同じ行動が出来ますか?どんなに称賛してもしつくせないほど崇高な人です。
これこそがまさに損得にとらわれない『無償の行為』であります。

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