さて、表題にある「お陰様」とは、他ならぬ感謝の気持ちであります。ある方丈様の説法の中で、「元旦のご来光に手を合わせ、本年の無事を祈願したりするが、12月31日の夕焼けに手を合わせ、本年の無事に感謝する人は少ないが、この話を聞いた方はぜひ年末の夕日に感謝して欲しい。」ということでした。
さて、この放送を聞いている皆様はいかがでしょうか。私もそうですが、振り返り思いだすことと言えば楽しい事よりも嫌な事の方が多いのではないでしょうか。だから年末の風物詩と言えば忘年会と題し、おいしい食事をし、お酒を飲んで忘れるということだと思います。しかしながら、今日があるのは過去という礎があるからであり、嫌な事も過ぎたからではないでしょうか。
曹洞宗修証義の経典の中に「人身得る事難し、仏法値うこと希なり」という一節があります。鳥であれ動物であれ、昆虫や草木であれ、命の様は多様ですが、人間としての命を得る事ができるのは難しい事だし、仏様の御教えを受ける事ができるのは希なことであると教えています。
私たちが人間としてこの身、この思いがあるのは両親やご先祖様からいただいたお命と、今までの歳月の積み重ねがあるからに他なりません。多少の苦労はあったとしても、与えられ、生かされたこの命に感謝して行けたらばと、思うところであります。
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