仏教をお開きになられましたお釈迦様は、『法句経』というみ教えの中で、「人間に生まれてきたこと、やがて死ななければならないこの命を、こうして今生きていることの貴さ、有り難さ」をお諭し下されておられます。
また、私どもの宗祖道元禅師様は、『正法眼蔵随聞記』という書物の中で、「道を学ぶものは、まず貧でなければならない。」と、お示しになっておられます。このみ教えは、共に私どもがいま、最も学ばなければならない心であり、すなわち生きる姿勢ではないでしょうか。私どもは、「諸々の助けをいただいて、生き生かされているのだ。」という感謝の心からは、決して他を傷つけたり、「もっともっと」という必要以上の欲求や、人をだましてまでもいい思いをしようという生き方は、生じてまいりません。
道元禅師様がお示し下された、『貧』においても同様です。物質面においても、心の面においても、あまりにも恵まれすぎた環境の中におりますと、こつこつと地道に精進努力する意欲を失い、足ることを忘れ、欲望だけが増長しがちになるものです。仮に、物質的・経済的にある程度豊かであっても、決して奢らず・貪らず、自らの心に慈しみを持って生きていくことが『貧を学ぶ』ということであります。
この「奢らず」・「貪らず」・「謙虚な態度で感謝の心を忘れない」生活態度こそ、人生の諸問題解決の根本であります。
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