曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

今でしょ! [1752 H26年3月3日〜3月9日]

静岡県 普伝寺 住職 豊田泰応 老師

 昨年流行語に選ばれました、「今でしょ!」と題してお話しさせて頂きます。
 久しぶりに聞くインパクトの強い言葉、「今でしょ!」。今思えば、私の学生時代は今でしょと言うより、まだまだ大丈夫、大丈夫の人生だった様に思う。何事もまだ時間があるから、まだ日にちがあるからと悉く後回しにしては結局時間が足りず中途半端に終わり、あ〜!あの時もっと早くやっておけばこんな事にならなかったのにと、何度思ったことか。大人になってもその癖がなかなか治らない自分に少々イライラすることがある。
 そこで今までの自分を川柳にして一句 『今年こそ 今すぐやろう 明日から』
 せっかくお電話を頂いた方には何の得にもならない川柳ですが、近頃こんな川柳を払拭するかのような方とお会い致しました。その方は私とは全く正反対の方でした。物腰が大変柔らかく、穏やかで、何事にも慌てることなく対処をし、今日やらなくてはいけないことはできる限り今日のうちに!人から頼まれたことはできる限り早いうちにと!お世話好きな方とはいえここまで相手の気持ちになってできることが、日常生活を拝見して分かりました。納得です。
 それぞれ、人間の持っている器にはあまり大差が無いと思う。ただその方は物事を先送りにせずため込まず一つ一つのことを早いうちに対処をして、常に自分の器に2・3分の余裕があるからこそ何事にも慌てること無く、穏やかな立ち振る舞いの中に相手に対しての心配りと思いやりの心でどんな方とも接しているのだと思います。
 私たち僧侶の教えにもあるように、「任に当たって他に譲り難し」と、自分に与えられて事は他に任すこと無く今すぐ行う。これこそが今でしょ!そのものだと思います。
 もし私と同じような方がいるとしたら、いつもこの言葉「今でしょ!」を思い出して頂き物事にすぐ取りかかることによって、時間の余裕も満足感も得ることができ、きっと爽やかな気持ちになれるのでは無いかと思います。
 一年がスタートしたばかりです。今年こそは何事もゆったりとした気持ちで接したいものです。
 最後に、新たな自分を川柳にして一句 『今年こそ 先送りせず 今でしょ』

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