曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

前略 病床より [1753 H26年3月10日〜3月16日]

静岡県 西光院 住職 桐畑守昌 老師

 年頭に突然胸に激痛が走り、呼吸困難になって救急搬送されて即入院となりました。
 容体が安定したところで医師からの説明を受け、病名は胸膜炎と肺炎の併発とのことでした。あとは点滴治療と絶対安静を言い渡され、それからはただ虚しく時間だけが過ぎていきました。
 思い起こせば10年前白血病を患った時と同じような思いが脳裏をよぎりました。なぜこんな苦しい思いをしてまで生きるのだろう、早く楽になりたい、四苦とは生老病死と言うけれども生きることも苦とはこのことか。ではなぜつらい治療を受けてまで人は生きようとするのかとマイナス思考の堂々巡りばかりでした。
 そのような状況の中ある老師から頂いた「マイナスかけるマイナスはプラス」という言葉を思い出しました。生きているから病気にもなる、生きているから辛いこともある、生きているから於いてゆく、すべては生きているからこそなのです。死んでしまっては喜怒哀楽も無し、夢もありません。そう思うと生きていると言うことはなんとありがたいことでしょうか。
 近年命を粗末にする目も当てられない事件が多発しています。このたった一つしか無い尊い「命」この世に与えてくださったありがたい「命」の存在を、苦痛を受ける前に今一度見つめ直してください。
 そしてこの命をどのように生かすかどうかはあなた次第です。一つアドバイスしましょう。
 先ほどの老師の言葉ですが、算数の公式ですね。算数の一番簡単な公式、たし算引き算かけ算割り算があります。たすは「助け合う」引くは「引き受ける」かけるは「声をかける」割るは「分け合う」という生きていく環境の中での思いやり算という公式です。
 人は一人では生きていけません。親、兄弟親戚縁者だけでなく生きとし生けるものとの繋がりがあって生かされています。せっかく頂いた命なのですからこの思いやり算を利用して生きていると言うこと、生かされているということに感謝の思いを込めて使ってみてください。

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