曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

東北・関東大震災に心を寄せて [1756 H26年3月31日〜4月6日]

静岡県 林泉寺 住職 土井佑禅 老師


波動研究の江本勝氏の研究である。一つの水をAとBと二つのガラス瓶に入れて実験をする。Aには「ありがとう」「感謝」などの文字を貼ったり、名曲といわれる「モーツァルト」や「ベートーベン」を聞かせる。あるいは直接「ありがとう」の言葉をかける。Bには「ばかやろう」「ころす」などの文字を貼ったり、怒りに満ちた激しい曲を聞かせる。または「ばかやろう」と声を掛ける。Aの水の氷の結晶は、どれも美しくおだやかな姿になるが、Bの結晶は結晶ができてもゆがみ、濁り汚い姿になり、結晶さえも作らないものがあった。そのような実験で、一番美しい結晶体を作ったのは、お経を聞いた水だったそうだ。
私は平成24年6月に、ご縁をいただいて関東の尼僧団の主催する「東北・関東大震災」で被災された方を供養する法要に参加させていただいた。宮城県の尼僧さんのお寺でおこなった。
その法要を営む発端は、台湾の尼僧さんが「台湾で大地震があったとき、日本の救助の人々がいち早く駆けつけ助けてくれたので、今度は法要をし皆さんを助けたい。」という要請を受けて実現したものであった。
6月28日午後1時より3時間ほど、台湾の尼僧団、浄土宗の尼僧団、曹洞宗の尼僧団とそれぞれの法要を続けておこなった。台湾の方々は黄色のお袈裟をつけ、白の着物を着て、鳴らしものは高い音の鐘や鈴、少し華やかな感じもあり厳粛な感じもした。浄土宗の方々は黒い衣に木欄の袈裟を付けた。お経が違うところを興味深く聞いた。私たちは般若心経、大非心陀羅尼などを読み、約20名ほどで法要をした。地元のお坊さんも手伝ってくださり、壇信徒の方、一般の人々も法要に参加していた。
 法要の時間は少し長かったが終わったあとは尼僧や参加された方々も、とてもすがすがしい様子にさわやかな空気が流れた。 壇信徒の男性の方が、控え室に戻る私たち一人一人に「ありがとう」と言ってくれたのが印象に残った。
 実は私は「台湾の方の法要が見られる」ということを楽しみに参加したこともあり、少し軽い気持ちであった。しかし法要に入り皆の真剣な様子、参加されている人の悲しそうな様子にふれ、気持ちを改め一生懸命にお経を読んだ。法要のあとには自分でもわからないくらいすがすがしい、不思議な気持ちになった。
波動の実験では、お経を聞いた水の氷の結晶が一番美しかった。きっとお経の波動には大きな力があるのだろう。私たち尼僧が読んだお経、おこなった法要の波動が深く広く海や山、被災された方に届き、少しでも力になれたらと思う。
 このごろ震災の記憶が薄れている。心を寄せて見守り忘れずに日々過ごしたいとおもうことである。

| top | 前のお言葉 | 511 | 512 | 513 | 514 | 515 | 516 | 517 | 518 | 519 | 520 | 521 | 522 | 523 | 524 | 525 | 次のお言葉 |