曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
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「五観の偈」その三 [1763 H26年5月26日〜6月1日]

愛知県 東昌寺 住職 芳賀成明 老師 

こんにちは。皆さんは普段、健康的に過ごしておられますか?
最近では生活習慣の見直しを迫られている方も多いと思います。
私の場合もある時、自分のお腹周りを見て好き勝手な生活習慣を続けた末の結果を愕然として悟りました。
このままでは深刻な事態になりそうなので、慌てて生活習慣の見直しを始めた次第です。
似たようなことは、私たちの社会にも沢山見られます。
昔から不安の種である犯罪や戦争、最近では原発事故まで加わり、社会が抱える病気はかなり深刻な状態です。
 これらの原因も、本を辿れば結局は自分の快適さや利益を優先する人間の身勝手な欲望に行き着きます。
考えてみれば、社会も人で成り立っている訳ですから、一人ひとりの生活態度や生き方というのも少なからず社会に反映されることが想像できます。
曹洞宗の食事作法「五観の偈」の三番目に、心の健康を保ち、行いの過ちを避けるには、欲張ったり身勝手な振る舞いを自制することが大切である、と示されています。
油断すると、この私の生命を支えてくれている食べ物に対してさえも、好きなものには執着し、口にあわなければ嫌い、気に入らなければ文句を言う身勝手さが頭をもたげてくるのが私たちの日常です。
あの大震災の時、支援を受ける列に整然と並ぶ被災された方の姿に世界中から賞賛の声が挙がりました。
心は傷つき身体は疲れ切っていても、皆さんの態度は私よりも数段健康的でした。
人の健康、社会の健康を知った瞬間でした。 私の健康が社会の健康に繋がることを信じ、欲張ったり身勝手な振る舞いを自制する生活習慣を身に付けたいと切に願うものです。


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