曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

雨に想う [1765 H26年6月2日〜6月8日]

静岡県 宗円寺 住職 長谷川宗彦 老師 

今この法話をあなたが聞いているのはどんな天気の日でしょうか?晴れの日でしょうか、曇りの日でしょうか、それとも雨の日でしょうか。6月といえば季節はもう梅雨に入り、降り続く雨のせいで家にこもりがちとなってしまい、気持ちもふさぎがちになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 ですが、そんな時はほんの少しだけの間、雨音に耳をすましてみて下さい。きっとそこには高らかに合唱する蛙たちの鳴き声が聞こえてくることでしょう。また、長い雨が止んだ後、外に目を向けてみれば木々の葉がよりいっそう鮮やかになっていることにも気付かれることでしょう。
 私たちは普段日々の生活に気を取られて忘れがちになりますが、そのまわりには目に見えないものや物言わぬものも含めて数多くの生命があふれているのです。6月に降る雨はそれらの生命を育む、まさしく「恵みの雨」であり、その存在を私たちに改めて気付かせてくれる「兆しの雨」でもあるのです。
 そして、このことを約2600年も前に理解されていた方がいらっしゃいました。そう、お釈迦様です。故に、お釈迦様は小さな生命たちを傷つけないように雨の季節は室内にこもって修行をすることを定められました。このことは、その優しき御心と共に現代の私たちにも脈々と受け継がれているのです。
 皆様方も、降り出した雨に気付かれたとき、この法話を思い出していただいて、世界に満ちあふれる生命たちの尊さに思いをはせていただけたら、何よりの幸いと存じます。


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