曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

人に優しく [1779 H26年9月8日〜9月14日]

静岡県 三養寺 副住職 有澤政文 師

 情けは人のためならず、ということわざがあります。このことわざの意味をご存じでしょうか。私はつい最近まで優しくすると甘えたり怠けてしまい、人に為にならないので情けをかけてはいけないよ、そういう意味だと思っていました。しかし実際の意味は違っていました。優しくするのは人のためではなく巡り巡って自分のためなんだよと言うのが本当の意味でした。私はこのことわざの本当の意味を知ったときすごく感動しました。AさんがBさんに優しくするとBさんは嬉しく幸せな気持ちになってBさんはCさんに優しくします。今度はCさんが嬉しく優しい気持ちになってCさんはDさんに優しくします。そしてDさんがAさんに優しくする。AさんがBさんにおこなった行為が他の人たちも幸福にする。本当に素晴らしい行いだと思います。この行いを世界中の人たちがおこなったとしたらどうでしょう。世界中が平和で幸せに満ちあふれた世界になるでしょう。
 しかし現実は違います。今も世界中で戦争や対立、貧困や差別で苦しんでいる人たちが大勢います。なぜでしょうか?それは誰かが優しい気持ちになる連鎖を止めてしまっているからです。そしてこの「自分さえよければいい」という悪い考え方も連鎖してしまいます。Aがやらないならいいや。Bだけずるいぞ。Cもやってなかったぞ。優しい気持ちが連鎖する世界と、自分さえよければよいという考え方が連鎖する世界。どちらが良い世界でしょうか?
 今、「もったいない」ということばが世界中で流行っているそうです。食べ物や物に対して無駄をなくし、最後まで使い切り感謝をする日本の考え方が見直されています。
 「情けは人のためならず」巡り巡って自分のため、この言葉が世界中の人たちに知られて実践されるように願ってやみません。すべての人たちが幸せに、そして人に優しくできる世界を目指して努力していきましょう。

| top | 前のお言葉 | 481 | 482 | 483 | 484 | 485 | 486 | 487 | 488 | 489 | 490 | 491 | 492 | 493 | 494 | 495 | 次のお言葉 |