曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

足るを知る [1780 H26年9月15日〜9月21日]

静岡県 玉泉寺 副住職 村上秀樹 師

 3月9月にはお彼岸と呼ばれる一週間があります。それぞれ春分の日、秋分の日をお中日にとした前後3日間の一週間です。この期間は、仏壇に牡丹餅やお萩をお供えし、お墓参りをしてご先祖さまを特に厚く供養します。またお彼岸は、煩悩や迷いのない境地に至りましょうという意味があるので、日々の生活に忙しい皆様も頭の片隅に仏の教えを意識しながら過ごしてみましょう。意識するだけで、彼岸はとても身近に感じられるでしょう。
 そこで、知足という仏の教えをお話しします。知とは知識の知、足とは人のあしという字をかきます。これは漢文なので訳すと、足るを知ると読みます。今を生きる私たちはこの知足、豊かさに満ち足りていることを知るのがとても大事です。私たちの暮らしは文明の進歩によってとても豊かになりました。好きなときに好きなものを食べ、家には車があり、携帯電話の普及で連絡を取ったり買い物をしたりととても便利です。しかしこのようにもっともっとと生活を便利に楽にしようと突き進む社会には、その先に危ういものが待っているように感じます。どんどん便利に、どんどん楽にという生活に浸かっていると、人間はいつの間にか堕落してしまう恐れがあります。楽をするというのは煩悩の最たるものです。豊かな今を自覚せず、もっともっとと求めていけば人間の欲望にはキリがありません。そうなると不平不満は募るいっぽうであり、その不平や不満からは幸せの芽は生えません。
 人間は自分勝手な生き物で、わがままな気持ちを抑えるのはなかなか難しいことです。今月のお彼岸には是非ご先祖さまを供養し、仏の教えを少し意識しながら過ごしましょう。

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