曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

合掌は祈りの姿   [1811 平成27年4月20日〜4月26日]

静岡県 大智寺 住職 渭原弘之 老師

私は最近、葬儀や法事の前に合掌の練習をして式を始めます。これから式の前と同じように話しますので、お聞きください。

みなさん、「手を合わせる」と「合掌」の違いは分かりますか?なかなか難しいので、ここで練習をします。それではお手を合わせください。はい、ありがとうございます。概ねの方が上手にできていますね。できれば中指が鼻の高さまで上がると良いですね。それではもう一度、合掌をお願い致します。はい、ありがとうございました。先ほどよりも上手ですね。さて今、二回練習しましたが、初めの姿と二回目の姿と何か違いがありましたか。全くありませんね。でも、これから式中、何回となく合掌をお願い致しますので、その違いをはじめにお話し致します。まず手を合わせるということは、単純に両の手を合わせる動作、姿です。次に合掌、これも両の手を合わせる姿は変わりませんが、大切なことは、合掌には祈りがあり、願いがあり、誓いがあります。それがなければ合掌ではありません。葬儀の席ならば、その姿には冥福を祈り、死出の旅路の安らかなれを願い、何よりも今ここで仏の誓いを感じ、それぞれが生きる事への誓いの姿でなければいけません。これから式を始めるにあたり、皆様にはしっかりと合掌をして頂きたいと思います。こんなお話をいたします。

さてみなさんは青森県八戸市から発掘された合掌土偶をご存知ですか。縄文時代後期ですから三千年から四千年前のものだそうです。両ひざを立てて座り、胸の前で指を組んでいる姿から合掌土偶といわれるそうです。土偶は一般的には捨て場や遺構の外で出土されるものが多い中、この合掌土偶は住居の片隅に置かれた様に見つかったそうです。また何カ所かの割れがありますが、しっかりとアスファルトで修復された様子がうかがわれます。私たちは三千年以上も前から祈らずにはいられなかったのです。今国宝に指定される高さ20p程の小さな土偶、指を組んでいるので正確には合掌といわないのでしょうが、それは日本最古の祈りの姿です。そのまなざしの先に、何を見つめ、何を祈っているのでしょうか。

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