曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

仏さまに向き合う [1829 平成27年8月24日〜8月30日]

岐阜 福昌寺 住職 坂本宗陽 老師

六、七年前になると思いますが、ご自宅で法事をお勤めいたしました時のことです。その家の四十前くらいの奥さんが、「和尚さんお経には何が書いてあるのですか?」と質問されました。ご法事でお読みしたのは、般若心経と、修証義と妙法蓮華経でした。私はその質問を受けて戸惑いました。それは、奥さんがお尋ねされたのは、お経の根本のところ、一番大事な要点は何ですか?と尋ねられていると感じたからかもしれません。
私がお経を習いはじめた頃、私の師匠や、先輩の方から言われたことは、たぶん皆一様に
「大きい声で読みなさい」とか、「もっと腹から声を出しなさい。」ということでした。内容につい
て知りたいという興味がなかった訳ではありませんが、やはり難しいことと感じていましたし、
ましてその肝要なところは何かというような問題意識を持つことがありませんでした。
また、檀信徒の皆さんの中には、朝晩に仏前で般若心経を読んでいますと、嬉しそうに話される方がみえます。きっと、お仏壇に向かって手を合わせて気持ちが温かくなり、お花に気持ちが和まれ、供えられたお水に、のどが潤うように感じられるでしょう。お線香をまっすぐ立てることが出来れば、心がすうーっとされるにちがいありません。
お経もそれに似ているかもしれません。書かれていることの意味が解っても、知らなくても読むことに一生懸命になって、自分がお経を読んでいることも忘れるくらいになれたら、きっと仏様やご先祖様もにこにこと頬笑んでおられるように感じられることでしょう。

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