曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

観音様の慈悲の功徳に包まれて [1832 平成27年9月14日〜9月20日]

愛知 宝円寺 住職 浅田有彦 老師

皆さまに親しまれてる観音さま。ちゃんとしたお名前は世の音を観ると書いて観世音菩薩と言います。では、どんな音を観ているかと言うと、何か困った事が起きて一心に観音さまに助けを求めている人の声を観ている、探していると言われてます。
 観音さまは、その姿が女性的でやさしく、常に慈悲に溢れて暖かい母のようで、救いを求める人には誰にでも分け隔てなく手を差し伸べてくださるので、慈悲の仏さまとも言われます。
 曹洞宗のご詠歌に「見わたせば功徳の海によせかえす ひとつひとつの波のきらめき」と言うのがあります。これは観音さまの事を歌ったものです。
 遠く広く遙か彼方を見わたすならば、あたり一面が観音さまの慈悲の功徳に満ちた海であり、海の波が止まることなく常に変化しながらキラキラと光り輝くように、観音さまの慈悲の功徳の1つ1つが無数にきらめいている。今、我々が居るこの世界は観音さまの慈悲の功徳に溢れた世界なのだと。
 ただ、いくら慈悲の功徳の世界に居ると言っても、自分の努力精進もなくただ単に願い事さえすればよい、と言うのではありません。日々の精進つまり修行が大事です。
 永平寺の前のご住職宮崎禅師さまが御授戒会でよくおっしゃってた言葉を思い出します。「ザルに水を入れると落ちる。ザルというのは水を入れたらみな漏ってしまって水は入れられない。水は入れられないけれども、そのザルを水の中につけておく。そしたらずっとザルの中に水が入っている。説教や説戒は、右の耳から入った事は左の耳へ抜けてしまう。所詮、ザル耳だ。そういうザル耳だけれども一週間、水の中につかっておったら、今度はそれが習わしになって、その心で商売、あるいは仕事、それが1つになることが出来る。1つになることを三昧という。成りきるという、それが道元禅師さまの御教えです。」と。
 皆さまも、観音さまの功徳の海にどっぷりと浸かり、日々精進修行の毎日を過ごしていただきたいと思います。

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