曹洞宗でよく読まれる『修証義』というお経の中で、「布施」について説かれています。
「布施」とは「一切の見返りを求めず、与え、与えられること」です。布施の種類には、与える物が金銭や食べ物、あるいは衣服といった物質的な布施を指す「財を施す」ものもあれば、「仏の教え」そのものを説き与える「法を施す」ものもあり、災難などにあっている者を慰めその恐怖心を取り除く行為もまた「布施」の一つとされております。
また、お経の中では「一生懸命世の中のために働くことも布施である」と言っております。
けれども、檀家さんや一般の方との普段の会話の中で「お布施はいくらかかるの?」と聞かれることが度々あります。
一般的に「お布施=お金」というイメージが強く、ややもするとお寺の法要や読経がサービスの提供として認識され、その対価として金銭(お布施) を支払う、商取引のごとくに誤って理解されている方も見受けられます。
お寺とは、住職と檀家がお互いに真心を持ち寄り、ご先祖さまをお祀りするところ、それが「お寺」ではないでしょうか。
大事なことは決して「お金」の問題ではなく「一切の見返りを求めず、与え、与えられること」、それが正しい布施の在り方であり、正しい教えであります。
お寺は「お店」ではなく、檀家も「客」ではありません。法要や読経は「供養のこころ」を形に示すものであり、何事も真心(まごころ)をもってつとめることが「布施のこころ」であります。
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