「明日の降水確率は九十%です。」
こんな天気予報を、明日遠足へ行く子供が聞いたら、
「ええ、何で明日雨なの!雨なんか大嫌い!」
と、声を荒げることでしょう。しかし、十日以上の晴天が続いた後の農家が聞いたら、きっと、笑みをたたえることでしょう。ひとえに「雨」といっても、人の思いよって受け取り方がまったく異なってくるのです。同じようなことを、私たちは「人」に対してもしてはいないでしょうか。
私の勤務場所に四月から配属になったタカシさんという若い男性がいます。タカシさんは真面目な勤務態度で、私とはお互いに冗談を言い合うような仲になりました。ところが、十月のある日、タカシさんの年下の同僚に対する高圧的な態度を見てしまったのです。「タカシさんが、あんなことを・・・。」と、私は失望し、タカシさんに対する態度も、どこかよそよそしいものになってしまいました。十月までのタカシさんとその日のタカシさん、どちらも間違いなく同一人物です。しかし、私のタカシさんに対する思いや態度は全く違うものになってしまいました。
私はタカシさんの一面だけをとらえ、タカシさんに思い込みで色付けをしていたとは言えないでしょうか。「タカシさんが、あんなことを・・・。」から「タカシさんには、あんなとこも・・・。」に言い換え、タカシさんにいろんな色で色付けをすることが必要だったのです。
「明日の降水確率は九十%です。」
明日、遠足へ行く子供がこれを聞いて言いました。
「じゃあ、庭で水遊びをしちゃおうかな。」
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