お坊さんになる前の私は、あまり他人と関わりたくないという思いが強く、人付き合いが苦手でした。お坊さんになり人と接する機会が増えると、笑顔で話しかけてくれる人がいたり、何も分からない自分に丁寧に接してくれる人がいたりと周りの人の優しさに触れることで、徐々に他人と関わりたくないという気持ちに変化がありました。またある日運動をしていて倒れた時の出来事でガラリと気持ちが変わりました。
倒れたとき近くにいた人が
「大丈夫ですか?」
「立てますか?」
と声をかけてくれたのです。感謝の言葉を返さなければならなかったにも関わらず、その時の私は「ああ、はい」と心配をしてくれた人に感謝の言葉を伝えることができませんでした。私は、見ず知らずの人に迷惑をかけ、何も言えなかったことを恥ずかしく思ったとともに、自分を心配してくれたことに感謝の気持ちでいっぱいでした。もし私が声をかけてくれた人の立場だったら、その人と同じことができなかったと思います。
困っている人に手を差し伸べることは簡単なことではないですし、頭で分かっていても実際に行動することは難しいです。日頃から相手と接し、相手を思いやる気持ちが大事なのだと思いました。そして、相手への思いやりの気持ちは相手も自分も優しくすることができるのです。
昨今、悲しいニュースや辛い出来事が数多くあり、他人との関わりを持ちたくない人が増えている世の中であると思いますが、周りには人を思いやる優しい人がたくさんいることを感じて、私は生きていきたいです。
みなさんも誰かに支えられたときは、素直な気持ちでありがとうと言い、誰かが困っていたら手を差し伸べていきましょう。
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