曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

念波観音力 []

愛知 龍海院 住職 池田友厚 老師

「念彼観音力」という言葉を聞いたことがありますか?『観音経』というお経の中で何度も何度も出てくる文言です。「念彼観音力」を読み下してみると「彼の観音の力を念ずれば・・・」という意味です。「観音」は「観音さま」即ち「観世音菩薩」ですね。「あなたの苦しみの声を、それがどんなに小さな声でも、必ず聞きつけて一瞬のうちにあなたの前に現れ、あなたの苦しみを取り除いて下さる仏さま」です。
 『観音経』の中に、「例え船が嵐に出合って、波風激しく、大海に漂流しても、彼の観音の力を念ずれば、波にのまれることなく、無事、航海ができます。」とか「例え悪人に追いつめられて、高い山から足を踏み外して、崖から落ちてしまっても、彼の観音の力を念ずれば、少しもケガすることなく済みます。」と説かれています。
 それを聞いてある人は「そんな馬鹿な・・・」と一笑にふしてしまうでしょう。でもあなたには、「そうか。観音さまって仏さまがいらっしゃって、その存在を信じ、その教えに従って一生懸命に生きていけば、きっと見守っていて下さって、最後の最後の瞬間に、必ず救いの手を、スーッと差し延べてくれるんだ。だから、きっと大丈夫。それを信じて、もう少し頑張ってみよう。」と理解していただきたいのです。そう信じていただきたいのです。
 お正月に初詣に出掛け、家族の健康を祈り、大切な人が亡くなれば「どうか安らかに眠ってください。」と心から念じてお焼香をする。お盆になれば、必ずお墓参りに行き、お花を供えて御先祖の為に手を合わす。これは、あなたの心からの祈りが、きっと通じるからと信じているからそうするんですよね。
 そうなんです。大切なのは、「そんな馬鹿な・・・」と思うのではなく、『心からそれを信じることができるかどうか。』なんです。それが真実かどうかなんて、大した問題ではないんです。『それを心から信じきることができるかどうか。』信仰に生きるとはこの一点にかかっているんだと思います。
 あなたの苦しみを知り、辛そうな、それでいて、やさしさ一杯の微笑みをたたえてあなたを見つめていて下さる観音さま。その観音さまの大いなる慈悲の救いを心から信じて、もう少し頑張ってみませんか?「大丈夫。きっとうまくいく。だって観音さまが見てて下さるんだから。」
『あなたの毎日が、笑顔に満たされますように。南無観世音菩薩。南無観世音菩薩。南無大慈大悲観世音菩薩。』

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