しばらく旅行に行くと家が恋しくなることはよくあることです。どんなに楽しかった旅行でも帰宅後すぐに腰を下ろして、「ああ、やっぱり我が家が一番落ち着くなあ」、そんな思いをしたことのあるのは私だけではないでしょう。
その旅行であったことを振り返り、楽しい思い出話ができるのは、そこに帰るべき家があるからです。自分には帰る家がある事。安心できる場所がある事。実はそのことが一番旅行を楽しくしているのです。
身も心も投げうって信じ従うことを「帰依をする」といいます。「帰依」とは「帰る」という字と「依る」という字を書きます。
私たち仏教徒にとって大切なこと、それは仏様の教えに帰依することです。これは遠くのものを追い求めることではありません。一番近くにあるもの、この大切な私の命がどのようにして今ここにあるのか、そのことに気づき、またそのご縁を引き受け、さらには深めていこうとする姿です。
それはまるで最も安心できる場所に帰るような、自然な行いであります。「私のそばにはいつも仏様がいてくれる。私のそばにはいつも苦楽を共にし、支えあうことのできる仲間がいる。」どんな状況にあっても、そうした安心感の中で感謝とともに落ち着きのある暮らしができたら、これが本当の幸せであると思います。
さて、皆さんには安心できる場所がありますか。その場所にしっかり帰ってきていらっしゃいますか。
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