大切な人を失くしたとき、私たちは深い悲しみに襲われます。
或る女性は涙を流しながら私に言いました「夫が私にとってかけがえのない人であったことが分かりました」。また、妻を亡くした人は「家事など任せっぱなしだったなあ。いっしょにやればよかった」と悔やみました。
後悔や未練、不安などの感情は様々にかたちを変えて私たちのこころに現れてきます。もちろん私にも現れます。そんなとき「悲しみは話すことによって半減し、うれしさは話すことによって倍増する」という言葉を信じて、私は誰かに話を聞いてもらいます。
話したとて、すぐに悲しさや苦しさがなくなるわけでありませんが、悲しみを共有してくれる人がいることが私の生きる力になっています。
ところが、生きている人だけが力になるのではありません。亡くなった方が残された方を励まし支えている場面に出会ったことがありました。
夫を亡くした女性が夜、仏壇に向かって今日の報告をしていました。今日の出来事を言葉にすることによって、どれほど皆に支えられているかということが分かってきました。悲しみに深く傷ついていた女性は徐々に癒され、悲しみの感情が感謝の感情に変わっていくのが傍目にもわかりました。亡くなった夫が励まし見守っているとその女性は実感しました。
このように人は生死の境を越えてつながることができます。
私たちのいのちは、過去の人にも現在の人にも未来の人にも支えられています。気がついてみれば、あなたを支えている人がきっと身近にいるはずです。
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