朝起きたとき、家に帰ったとき、とりあえず何の気なしにテレビをつけてみる。現在そんな人も多いのではないでしょうか。しかし見たテレビのすべての内容を覚えている人も少ないのではないでしょうか。
テレビやラジオ、新聞、携帯電話、インターネットが普及し多くの情報が錯綜する中で私たちは生きています。多くの情報は私たちの知識を豊かにして前に進む原動力になりますし、様々な面で判断をする大切な材料にもなります。しかし、同時に多すぎる情報は私たちを情報の迷路に誘い混乱させてしまいます。
私が昔お寺で修行していた時ですが坐禅の時間が必ずありました。私は今まで何かしらの音や映像が流れている中で生きてきました。だから何もないところで坐っているのは大変退屈になるだろうと思ってしまいました。しかし、実際坐って見ると何もなく退屈というのは自分の思い込みだとわかりました。今まで感じていなかった小さな音、それは鳥の鳴き声や、草や樹木が風にそよぐ音等が聞こえてきました。肌にも小さな風、寒さや暑さ直接を感じることができ驚きました。そして、いまさらながら今まで何も無いと勝手に思っていた世界は色々な表情を持っていたことに気がつきました。そのゆっくりした時間と空間の中でしか見えない大切なものが確かに存在していたのです。
皆様も、一秒でも早く情報を求めるこの現在の世界だからこそ、不要な情報を捨て一度立ち止まる勇気を持つことで自分を見つめ直すことができ、新しい世界が広がるのではないでしょうか。
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