私の寺では、月に一度山門前にある掲示板の言葉を書き替えていますが、今日はその中で令和6年3月に書きました「正射(せいしゃ)必中(ひっちゅう)」正しいの「せい」に 発射の「しゃ」 必ずの「ひつ」 中央の「ちゅう」と書きます。この「正射必中」という言葉についてお話をしたいと思います。
「正射必中」という言葉は弓道、弓で矢を射る武道ですね。この弓道の言葉です。
あなたさまは、テレビなどで、弓道の稽古や試合の様子をご覧になったことがあるでしょうか?実際に弓道をされている方もいらっしゃるかもしれません。所作の美しさや緊張感で、見ていてこちらも清々しく、また身が引き締まる気持ちになります。
「正射必中」という言葉は、先ほども申しましたように、その弓道の言葉で、「正しく射られた矢は必ず命中する」という意味なのだそうです。
弓道には、矢を射る際に「八節」、数字の「はち」に「ふし」と書きます、矢を射る際には、この「八節」といって八つの基本動作があるそうです。この八つの基本動作を正確におこなえば、必ず的に中てることができるという事を言っているのだと思います。
仏教では「因果」、原因の「いん」に結果の「か」と書きます、この因果を説きます。今起きているできごとには、必ず原因があるということです。裏返せば、正しい原因を作れば、おのずと正しい結果がついてくるという事になります。「正射必中」という言葉は、この因果、原因と結果の教えに通じるところがあると私は思いました。
私たちは結果優先で、つい楽な方法で良い結果を得ようとしがちですが、そのようなよこしまな心、ずるい気持ちで物事を行っていては、最初はうまくいくことがあるかもしれませんが、そのうち良い結果が得られなくなる時がくるでしょう。正しい気持ちで、ものごとを行うことで、常に良い結果がうまれるものと私は思います。
すぐに結果が出なくても、地道に正しい事を続ける人になりたいものです。
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