皆様方、仏様や御先祖様の前で合掌、手を合わせられていますでしょうか。御法事をはじめとした様々な御供養の場において、手を合わせる場面が多々あろうことかと思います。今回は、この合掌をするということについてお話をさせていただきく存じます。
さて、私たちは普段合掌をしてはおりません。こうした合掌をしていない私たちの掌の上には、自分にとって都合の良いもの、我欲的なものをはじめ、数えきれないほどのものが乗ってしまっております。しかし、私たちが掌と掌をしっかりとくっつけ、指先を天に向けた状態では、手の上には最早、何も乗せることができません。これこそが、自分の都合、打算的なものや、我欲的なものを全て投げ出して、一切合切を仏様へお任せする、すなわち帰依をしている姿なのではないかと、私は考えております。
先般、葬儀告別式を終え、式場から火葬場へと出棺をした際の話でございます。五歳の小さな男の子が、誰に促されるでもなく、また、周りの大人がまだ誰も手を合わせていない最中、おばあちゃんの出棺に際し、静かに手を合わせ、頭を下げておりました。お世話になったおばあちゃんを送り出すその姿に仏様そのものをみたような気がいたしました。それと同時に、私自身は周りの人から立派な僧侶だと見られたいなどといった、打算的な部分を持ちながら合掌してしまっていたのではないかと、恥じるばかりであります。
皆様方も、仏様や御先祖方様方の前では、どうか、どうかお心を込めて素直なまっすぐな気持ちで御一緒に合掌してまいりましょう。
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