曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

善は急げ []

静岡 白泉寺 福島寛樹 師

皆様は「善は急げ」という諺をご存じでしょうか。この諺は「善いと思った事は、ためらわず、すぐに実行するべきだ」という意味があります。例えば『善は急げと言うし、身体の健康の為に今日からランニングを始めよう』というような使い方をされます。
実はこの「善は急げ」という諺はお釈迦様の教えが由来となってできた諺なのです。
 ダンマパダと呼ばれるお釈迦様のお言葉をまとめた仏典の中に由来となった教えがでてきます。ダンマパダでお釈迦様は「善をなすのを急げ。悪から心を退けよ。善をなすのにのろのろしていたら、心は悪事をたのしむ」とおっしゃられております。お釈迦様は人の心には善悪があり、善の行いをすれば心がととのい、清めることができる。逆に人の本性の中には怠けたい、楽をしたいと言った悪があり、放っておけばどんどんと「悪い心」に飲まれてしまうことを示しております。
私も幼い頃、学校の仲のいい友人と些細な事で口論になってしまった際、すぐに謝る事ができず数週間ほど仲直りができないことがありました。最初の内は、仲直りをしないとと思っていたのですが、不思議な事に日がたつにつれて、その感情が小さくなり、だんだんと相手の事が嫌になってきてしまったのです。そしてある時、相手の方から声をかけてもらい、仲直りをしました。仲直りをしたとき私は最初の頃の感情に戻って、あぁ仲直りできてよかったと思いました。
しかし、あのまま仲直りをせずに過ごしていたらどんどん相手の事が嫌いになってしまい、仲直りができなかったかもしれません。
日常の中にはこのように気づかない内に、私たちの心を悪い心が飲み込もうとし、善い心を起こすのが難しくなることがあります。自分の中の悪い心を退け、善い心を満たす為にはお釈迦様の教えの通り「善は急げ」なのです。

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