祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、偏(ひとへ)に風の前の塵におなじ。
『平家物語』第一巻冒頭の一節です。
祇園精舍の鐘の音色は諸行無常でこの世のすべては常ならず変化している。
沙羅双樹の花は、どんなに勢い盛んな者も必ず衰えるという道理を示している。
今は栄えていてもその繁栄は長く続くものではなく、まるで覚(めざめ)めやすい春の夜の夢のよう。
勢いが盛んな者もいずれは滅びてしまう、風の前の塵と同じである。
と、仏教の教えをよく表現しています。
諸行無常はお釈迦様の大切な教えです。
世の中のあらゆるものは一定ではなく、絶えず変化し続けているという真理です。
世の中の物事は常に変化を繰り返し、同じ状態のものは何一つありません。それにも関わらず私たちは季節や自然、平和や人間関係、健康や自分の身体に到るまで、様々なことを変わらないと思い込み、このままであってほしいと願ったりもします。しかしそれが「執著」へとつながるのです。
お釈迦さまはいつまでも変わらないことに、こだわりすぎる人々の心が「苦しみ」を生むひとつの原因である、と説いています。
ものごとは必ず変化するということ、全てが無常の存在であること、これらに気づいて変化を受け入れ執著にとらわれないことが大切です。
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