曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

日々是好日 []

静岡 真如寺 足立彰悟 師 

皆様は、日日是好日という言葉をご存知でしょうか?これは雲門禅師様という中国のお坊さんが、弟子との問答の中で遺されたお言葉です。そのままの意味で捉えると、毎日は好日である、となります。「好ましい日」と書いて好日ですが、これは良い日、悪い日で考えた時の良い日とは少し違います。
 そもそも、今日はいい日だ、悪い日だと考えるのはどんな時か。思うに、その日に起きた出来事に対して感じた気持ちが影響していると思います。良いことがあれば良い日、悪いことがあれば悪い日というように、出来事に対して抱いた感情がそのまま良い日、悪い日の判断につながるわけです。しかし、同じ出来事でも、状況によって良し悪しの判断が変わることはないでしょうか。
 私が永平寺で修行させて頂いた時の話です。永平寺は北陸の山奥にあるため、冬になるとたいそう雪が降ります。静岡県の生まれで、雪が降る景色をほとんど見たことがなかった私は、しんしんと雪が降る様にに心を奪われました。こんなに美しい景色を見られて良かった、明日も雪が降らないだろうかと、のんきに考えておりました。しかし、翌日になって雪かきが始まると、早くも私の心は変わり始めました。いつまでも終わらない除雪作業に、数日も経たずにすっかり嫌気がさしてしまい、あれほど美しく思えていた雪景色も、辛い雪かきを連想する嫌な景色に変わってしまったのです。皆様の中にもこれに似た経験がおありの方はいませんでしょうか。忘れてはならないのは、捉え方が違うだけで、目の前の出来事は同じだということです。同じ雪景色を見て、綺麗な景色と思うのも、雪かきを連想するのも、どちらも自分の心です。
 日日是好日の好日とは、「良い日」ではなく、「かけがえのない日」という意味です。限られた人生の中、過ぎていく日々は巻き戻すことも、止めることもできません。そんなかけがえのない一日に、良い日も悪い日もありません。目の前の出来事に捉われて、一喜一憂するのではなく、一瞬一秒も無駄にせず、大切に過ごしなさい、それこそが日日是好日であると、そう教えられているのです。皆様のお心の中に、この日日是好日という言葉を少しでもとどめて頂ければ幸いです。ご清聴ありがとうございました。

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