曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

供養を考える []

愛知 普蔵寺 川浦良允 師 

福井県の永平寺で修行生活を送っていた時のお話です。ご存じの方も多いと思いますが、永平寺はとても大きなお寺で、毎日全国からとても多くの参拝者が訪れます。
その日も山形県からお越しというあるご家族が、生前より北陸の地が好きだったというおじい様の13回忌法要を行うため永平寺にお参りに来られました。修行生活一年目であった私は、「永平寺はそんなに遠くからもお参りにみえるんだな〜」と驚きながら、10名ほどのお仲間とともに13回忌の法要をお勤めさせていただきました。その日の晩に私含め数名の修行僧、そして普段修行生活のご指導をしてくださる70歳前後の老師様と共にお茶をいただいておりますと、老師様がふとこんな問いかけをされました。
「何をすることが一番の供養だと思いますか?」
唐突な問いに驚きながらも、私たちは少し考えて「お経を読むことです。」と答えました。すると老師様は「読経、それも大切な供養ですね。でもそれだけが供養でしょうか?」老師様は続けます。「お線香やロウソクに火を灯したり、お花をお供えすることも大切な供養の行いでしょう。またご焼香をして手を合わせること、これも古くから伝わる大切な行いです。そのどれもが大切な供養で何が一番の供養かなんてとても決められません。でもこれだけは言えるのではないでしょうか。本日、北陸がお好きだったおじい様の為にと遠方山形からお越しになられたご家族、そのお気持ちあってこそ、今日の供養が何より尊いものになったのではないでしょうか。」
私が僧侶として「供養」について考えるきっかけとなったお話でございました。当時の私はとにかくお経を一生懸命にお唱えすることばかりに気を取られ、大切なことを見落としていたことに気づかされました。言うまでもなく読経や法要など、古来より伝わる儀礼を重んじることは供養するにおいてとても大切なことです。しかしその儀礼の中に皆さんの故人様に対する想いがあってこそ、「供養」がより尊いものになるという私の大切な教訓です。

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